『ゆ、う、すけ……? 祐介……!!』



祐介は、目を少し開いた。


倒れたコンクリートの上に、トラウマでさえある血が広がる。



『なに、泣いてんだ……。ははっ……お兄ちゃんは、弟護るもん、だ……。憐夜、お前のせいなんかじゃ、ない。お前だって、いつか……』

『喋るな!! 早く、救急車……!』



冷静になれば、すぐにわかったことだ。


だってこれはいわゆる違法な活動。


警察を呼ぶわけにも行かず、しかも周りにもまだ敵がいる。



しかももう───……助からない。



失血が、多すぎた。もう助からない。


目の前から、希望が消えかけていた。



『いいか、俺を置いて全速力で逃げろ……。どうせ、俺は元から死ぬ運命だ……お前はまだ、純粋だ。この世界に、染まるな。お前はまだ、片手すら血に染ってない。汚れることなく、生きろよ……』

『なん、だよ、それ……』



それを最期に、祐介は、目を閉じた。


目の前から、希望が消えた。


何も、見えなくなって───。



───“俺”の拳は、勝手に動いていた。