僕にも、最初から強かったら。


今みたいに、確固たる強さがあれば守れたんだ。


大事な“兄”を、“親友”を。


でも、当時の僕は弱すぎた。


祐介から渡された布で肩を縛りながら、鉄パイプを持って立ち上がった。


運が良かったのか、当たった相手は全員雑魚だった。


おかげで僕と祐介は最後まで生き続けることができた。


もう人を失わないで済む。そう安堵したときだった。



僕はきっと、神に見放されたんだ───……。



『───憐夜!!』

『は───……』



声を出した、その刹那。


僕の目の前にまた───赤く、鮮やかな血が広がった。


意識を手放したはずの奴が立ち上がり、僕の背後を狙いその引き金を引いた。


僕は鈍感で、弱すぎて───察知することができなかった。


わかってた。僕はどうしようもないグズで、幸せなんか、掴み取れるわけないって。