僕の母さんは、その言葉を最後に事切れた。


僕はただずっと、母さんの冷たい手を握っていた。


その後、救急車などが来て……。


僕は、そのあとのこと、何一つ覚えていない。



覚えているのは、父からの虐待だけだ。



『この落ちこぼれ!! 母さんに生んでもらってこんなことですらできないなど、死んだ母さんに申し訳なくないのか!!』



知るか……僕だって、僕のほうが辛い。


味方一人いなくなった冷たい世界。僕はそこできっと、“感情”を落としてきたんだ。


もう辛くて仕方がないとき、僕は“ある人”と出会った。



───僕の、唯一の友人。



16の頃、僕は、あるたった一人の友人に出会う。


父がイカレれてから、四年経った日だった。


ちょっとずつ真面目に戻り始めた父は、再婚した。


その再婚相手の女は、僕に見向きもしなかった。


金と、権力にしか興味のない派手な女。


家の居場所が本格的に無くなり、僕は家を飛び出した。