僕の家はファリアルという、有名菓子店を経営していた。
だから、跡継ぎが必要だった。
そのせいでやりたくないことを強要されて、毎日怒鳴りつけられた。
生まれた頃からそうなのか、僕の能力が低いのか。
そう僕はずっと、自問自答していた。
でも、答えなんて、どこにもなかったと知る。
『この野郎!! 生んでもらった分際でその態度はなんだ! ロクに勉強もできないくせに歯向かうな!!』
父は、よくそう言った。
僕だって、真面目に取り組んだつもりだった。
なのに、誰一人、助けてはくれなかった。
母は近くで泣きながら見るだけで、助けようと動いたことは一度ほどしかなく、絶望する。
本当、壊れそうだった。
そんなとき、母が死んだ。
一応にも母さんを愛していた父は、死んだこと、そして死んだ理由を知り暴れ始めた。
僕だって悲しいのに。一応にも、生んでくれて育ててくれた母だ、苦しいわけない。
なのに、葬儀のときに泣かなかった、とか言われて、今度は本気の虐待が始まった。