「士綺くん、やっぱり拗ねてる」
「拗ねてねぇってば」
私はお湯に浸かりながら、士綺くんに近づいた。
内心嬉しそうな士綺くんの表情に、私は笑みが溢れた。
「人生の中で一番楽しいって言ったこと、拗ねてるんでしょ? でも、誤解だよ」
「ん?」
私は、そっと士綺くんの手を握った。
「私が楽しいのは、士綺くんのおかげ。大切な友人に囲まれて、あんなに楽しいところにも行けて。幸せ」
「椿月……」
私は夕日を見ながら、士綺くんの肩に頭を乗せた。
「この夕日を見れたのも、士綺くんのおかげ。確かに憐夜くんが連れてきてくれたし、泊まらせてもらうけど、全部士綺くんのおかげ」
「……そうか」
士綺くん、本当に可愛いなぁ。
そういうちょっと照れくさい顔も、喜びをはにかむ顔も、全部……。