「ほら椿月、いつまでそうしてんだ。こんなところすぐ連れてってやれるぐらいなのに」

「士綺くんの感覚がおかしいんだよ! 私は一般人の感覚だもん!」



そう騒いでいたけど、士綺くんに肩を抱かれてそのまま入口に入った。



「す、すごい……!」



中に入ると、華やかさが目に入った。

き、綺麗……!

床は大理石でできていて、まるでお城みたい。

ゴミ一つないし、念入りに掃除していることがわかる。

しかもものすごい大きいシャンデリアが二つも!



「な、なんやえらい豪勢やな……。気ぃ引けてまうわ」

「ゆ、結蘭ちゃんは普通の感覚でよかった……」



士綺くんたちは平然とした顔で通るから、もうセレブ以外の何者にも見えない。



「じゃ、塩素もたくさん付いてるし、お風呂に入りますか!」

「お風呂とか絶対すごいよね……! 露天風呂とかあるの?」

「うん、あるよ〜! 露天風呂はこ───」

「結蘭ちゃん楽しみだね! きっとここから綺麗な景色見えるよ!」

「せやなー!」



私たちは憐夜くんの声を遮ってはしゃいだ。



「むぅ、後悔しても知らないんだから」



私たちは憐夜くんのそんな言葉を気にすることもなく、二人でただはしゃいでいた。