「ふう……で、どこ行ったの士綺くん!」



本当は士綺くんを探すために来たのだけれど、もうあの場所にはいなくて、普通に探すしかなくなった。



「うーん、何か食べ物買いに行ったのかな? でも士綺くんは涼くんとかに任せて行かないタイプだろうし……」



そう一人で呟きながらトイレの横でグルグル回っていると、トイレから出てきた人にぶつかった。



「わっぷ!」

「ああ、ごめんね! 大丈夫?」

「あ、はい、すみません! 私、周りを見ていなかったもので……。どこかお怪我ありませんか?」

「大丈夫ですよ。こちらこそすみません」



ぶつかった男の人はとても優しくて、人当たりの良い笑顔だった。



「あの、人探ししてるんですが、男でシルバーの髪色に、瞳はブルーなんですが……」

「え? うーん、グレーの髪色の子は見たけど、その子は見てないと思うけどなぁ」

「ぐ、グレー!?」



グレー……涼くんのことかな!?

私はスマホを取り出し、写真を見せた。



「ああ、この子ね。この子なら見たよ……って全然同い年ぐらいの人だった。ごめん、この人はあっちの方向に行ったよ」

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」



私はお辞儀をして、男の人が指さした場所に走った。