「ありがと椿月〜! もう嫌やわー。やっぱこういうところは男子と来るもんやな! にしても獅子堂たちどこ行ったん? ほんま許せん男らや!」

「うーん……。さっきのところにいないから、荷物置いてるところに戻ったとか?」

「はぁ!? たしかにうちが連れ回したのが悪いけどな、彼女のこと追いかけて来おへんなんてほんまに男か!」

「あはは……」



激昂する結蘭ちゃんに、私は乾いた笑みしか返せなかった。

でも、私も心の中では怒りしかなかった。

士綺くん、ナンパされてついて行ったりしてないよね……? ああもう、変なこと考えちゃう。



「結蘭ちゃん、私トイレ行ってくる」

「えっ、一人で行くん?」

「大丈夫。もうあの人たちも行ったと思うし、トイレの近くは警備員さんもいると思うから!」



そう説得すると、結蘭ちゃんは渋々納得した。



「わかったわ。でもなんかあったら連絡してな! くれぐれも一人って状況にならんようにな!」

「わかってるよ。混んでるし、一人になんかそうならないよ。じゃあ行ってくるね」

「オッケー。下で待ってるわー」



結蘭ちゃんに手を振り、階段を降りた。