「そんな警戒しないでよ〜。普通に滑ろーってだけだよー?」

「なんやあんたら。うちらには彼氏おるんやけど。ハッキリ言ってナンパってダサいで」

「え、関西弁なんだけどかわい〜。ほら、後ろ並んじゃうから早く滑ろーね!」

「えっ、やめい! 何すんねん!」



結蘭ちゃんのところに止めに入ろうとしたけど、私もやんわりと腕を掴まれた。



「ほら、君は俺と一緒に滑ろーね? うわかわい。ほら早く」

「えっ、ちょ、やめて……!」



勝手に二人用のボートが出されて、私たち二人は困惑状態だった。

どうしよう!? 力強すぎて手、外れない!

結蘭ちゃんなら外せると思うけど、結蘭ちゃんはたぶん、こういうところで目立つの苦手だろうから、私が頑張らなきゃ!



「やめてください! 嫌だって言ってるんです! 警備員さん呼びますよ!」

「……チッ、行こうぜ」

「チッ、つまんねーの」



警備員の単語に恐れたのか、彼らは足速に去って行った。