満月おばぁちゃんがあたしがゴリゴリしたハーブでハーブティーを入れてくれた。

机いっぱい並べてあった薬草をちょっとだけ片付けて隅っこで向き合いながら、最近月華ママが買って来たっていうクッキーと一緒にティータイムが始まる。

自分で作ったハーブティーってなんか嬉しいかも、一生懸命手動かしたしおばぁちゃんの魔法も…

チラッと満月おばぁちゃんの方を見るとにこって笑って返された。

素直になれる魔法ってなんだろ?そんなこと言われたら飲むの緊張するじゃん。

「いただきます」

「どうぞ」

ゆっくり口にカップを近付けてドキドキしながら一口含んだ。ごくんっと喉を通して…

「おいしい!」

口に入れただけでわーって爽快感が駆け巡る。ほんのり甘いんだけど爽やかでつるんって入っていっちゃうみたい。

「満月おばぁちゃんすっごいおいしいね!!」

「あたり前だろ、おばぁちゃんが作ったんだから」

くすって笑いながら満月おばぁちゃんも一口飲んでた。


…これに魔法が?


飲むとどんな効果があるんだろう、どうかなっちゃうのかあたし。カップを持って上から見たり下から見たりつい気になって見ちゃうな。

「にゃぁ~」

「あぁカラス、また来たのかい」

ドアの隙間から猫のカラスが入って来た。おばぁちゃんが手を差し出すと嬉しそうに腕を上って肩に座り、すりすりとおばぁちゃんの頬に寄せた。

猫は匂いに敏感って言うけどカラスは気にならないのかな?それともこの匂いが好きなのかな…

「すっかり懐いてるね」

「昔から猫には懐かれるんだよねぇ」

「……。」

それはやっぱ魔女だから?
満月おばぁちゃんが言うと説得力しかないからなぁ。

「そーいえばあの子は元気?」

「あの子?」

「コタちゃん」

「コタちゃん??」

カラスを膝に乗せてなでなでしながら思い出したように聞かれたけど、全然ピンと来なかった。

え、聞いたことないんだけど誰のこと言ってるのか…