「こうして緋呂ちゃんが穂月を外の世界に連れ出してくれるから穂月も知らないことを知られると思う、それはすっごくありがたいし穂月も喜んでると思うわ…私たちでは教えてあげられない世界だからね」


月華ママも諦めて来たのかな、太陽の下を。


月華ママも歩いてみたいと思った?

太陽がどんなものか知りたいと思った…?


「でもね、知らないから怖いのよ」


月華ママが穂月を見つめて目を細めた。

「怖い…?」


最初から違ってたんだ。

知らないから、知れば楽しめると思ってた。 


でもそれはあたしが太陽の下がどんなものか知っているから。

穂月や月華ママからしたら太陽はそんな存在じゃないんだ。


わかってたつもりだった。 


でもわかってなかった。


「私たちにとっては外に出ることは命の危険にさらされることでもあるの、そう言われても緋呂ちゃんには理解しにくいことかもしれないけど…それぐらい大きなことなのよ」 

「……。」

「少し前にもあったしね」

黒猫のカラスが月華ママににすり寄って来た。にゃーにゃーとか細い声で鳴くカラスを静かになでる。

あの日も無理させちゃった…

そう思ったのにどうしてあたしは。

「だからこうゆうことがあるとちょっと心配になっちゃうかなぁ」

もうやめてね、って言われた。

もう連れ出さないでねって釘を刺されたんだ。


穂月はあたしといない方がいい、って

…そう言われた気がした。


「じゃあ私も手伝いに行って来るから、緋呂ちゃんも適当に帰ってね」

バタンッ、とドアが閉まった。