「来週いよいよ大会なの!」

体育祭に続き中学生最後の夏の大会、あたしが陸上部として走る最後の大会…!

それはそれは体育祭以上に燃えている。

「もう来週なんだ早いな」

ゴクリと持っていた缶コーヒーを飲んだ。ふわっと香ばしい香りが漂って来る。
あたしはというと苦いコーヒーは苦手で今日もスカッとする炭酸ジュースだけど。

「うん!これで部活終わっちゃうのかと思うと寂しい~、いい結果残せたらまだ全国があるけどね!」

「緋呂なら大丈夫なんじゃねぇの」

「にゃ~」

珍しく猫のカラスがあたしに愛想振りまくように鳴いた。

カラスも応援してくれてるのかな?じゃあがんばっちゃうもんね!

「そろそろ時間だな、帰るか」

残っていた缶コーヒーを一気に飲み干した穂月がゴミ箱に空き缶を入れてベンチから立ち上がる。

穂月は絶対門限を破らない、怖いのかな月華ママが。

穂月が帰るって言うならしょーがないから、ぴょんっとベンチから立ち上がった。まだ飲み終わらないジュースが持って帰ろう。

「今毎日練習してるんだけどね、みんなやる気!って感じで楽しいの」

「楽しいんだ練習って」

「超楽しいよ!早くなればなるほど楽しい!」

丘の上の公園から下に置いていく階段を下る、暗いからゆっくりゆっくり今ここでケガしたらシャレにならないし。

これが最後かもしれない試合なんだもん、絶対そんなヘマはできない。

最後って言うと妙に緊張はしちゃうけど、いつも緊張はするんだけどいつも以上にバクバク心臓の音が大きくなる…


ダメダメ!まだ早い!!

今から緊張してたら本番潰れちゃう!


まだまだもう少しがんばらばいと…