「やだよー、穂月死なないでよ~!」

「死んでねぇよ!勝手に殺すな!」

うわーんと声を出すと穂月がガバッとふとんをはいで体を起こした。

「穂月…」

むぅっと口を紡んで眉間にしわを寄せた。

「…ちょっと寝不足だっただけだから、全然平気だからっ」

「…そーなの?」

「そーだよ!あれくらいどうってことないっつの、もう部活行け!」

フンッと吐き捨てるように言うとまたふとんの中へもぐっていった。

「あらあらカッコいいとこ見せられなくて残念ねぇ♡」

「月華ママ…」

キレイに揃えた右手を口元に当て、なぜかふふっと笑って嬉しそうだった。

それを聞いてさらにふとんの中へもぐっていった。


…え?なに??


「……。」

と、とりあえず大丈夫…ぽいのかな。じゃあよかった。

部活に戻らないとだよね、勝手に抜けて来ちゃったし。

「あたし戻ります!」

ピシッと手を上げて巴先生たちにあいさつをした。ずっとここにいてもあれだし、一旦部活に戻った方がいいと思って。

「緋呂」

じゃあと、保健室から出ようとドアの方に足を向ける。

「なに、どうかした?」

「夜、行くから」

夜…?っていつもそんな言い方しないのに…

「猫、返しに行くんだろ?」

ふとんの中から聞こえた声、ずっと穂月も考えててくれたんだってうれしくなる。


やっぱり穂月は放っておけないよね。

優しいんだよ、穂月は。


「…うん!」