「お父さん?」
「ん?」
「どういうことか、説明してもらいましょうか?」
私は恐怖の笑顔で、お父さんに詰め寄ったのであった。



「はあああっ!?ユウヒ様以外のアイドルをプロデュース!?」
ここは、お家のリビング。
最初は、冗談にも程があるよと思っていた。
「ごめん、今ほんとにプロデューサーを雇えるお金がなくて……それにさ、萌華(もか)、バイト嫌がってたじゃん?これやってくれたら、お小遣いあげ」
「アイドルプロデューサーになるんだったら、まだバイトした方がマシです!」
私はお父さんの言葉をバッサリ切って、今にも部屋に戻る勢いになる。
「ええ、お姉ちゃん、やったらいいやん?イケメンいるかもよ?」
(はな)がニヤッと私を見る。
「私はユウヒ様一途なの!他の男は興味ない!」
「ええ〜?じゃあ、私やっちゃおうかな〜?」
「は、(はな)はダメでしょ!まだ中学生なんだし!それに、ともや様はどうするの!?」
「ともや様?他の男をプロデュースしながらともや様から目を背けるやつなんか、推しじゃないよ!ただのクズだね!」
その言葉に、うっと詰まる。
「じ、じゃあさ!週末家族でちょっと出かけない?」
お父さんが言う
「出かける?」
「まー、週末空いてるしいいよー!」
(はな)はあっさりとオッケーする。
まあ、出かけるなら、やってやんなくてもないか。



で、今に至るわけです。
目の前のお父さんの顔を見る。
そして……見知らぬ三人。
「出かけるって……どこかと思ったら、まさかの事務所だったわけね。」
(はな)は平然とした顔。
どうしてそんな堂々としてられるの!?
目の前に見知らぬ三人の男の人がいるんですよ!?
「これから、萌華にプロデュースしてもらう三人の男の子だよ!紹介す」
「はああああ!?しないって言ったじゃん!」
「だって……お金が足りないんだもん……。」
子供みたいに拗ねるお父さん。
なんか、ムカつくうううう!
「萌華(もか)ちゃんは、美味しいご飯食べなくていいの?」
ちゃん付け!なんでちゃん付けなの!?
「私は食べたいでーす!」
すぐ後ろで、めちゃめちゃニヤニヤしてる人任せのうるさい妹がいますよー。
「はあ!?そんなんするわけ、」
「俺たちの意見は聞かないわけ?」
言いかけた途端。
さっきまで喋らなかった、見知らぬ男の人三人の一人がいきなり喋り始めた。
「俺は嫌だけど。こんなガキにプロデュースされるなんて、死んでもごめんだ。」
はあああっ!?私も、あんたたちみたいな人達をプロデュースするなんて、死んでもごめんです!
て・い・う・か!この人たちも言ってるんで、早く帰りましょう!
「ええ〜、僕はいいけどね〜!アイドルやってみたいし?」
「どちらでも、お好きなよーに。」
ええ!?
さっきまで無口だった二人が、反対の意見を出す。
いや、一人は違うか。
「お、お父さん!一人が反対してるから、帰ろうよ!」
「萌華(もか)ちゃん、お父さんと取引しないかい?」
笑顔!その笑顔怖いです!
「……ちなみに、その取引内容って?」
一応聞いてみることにする私。
「萌華(もか)ちゃんが、学校に行かずに、この人達をプロデュースするって言う取引。」
「っ!?」
その内容に、さすがに驚く私。