〇放課後、昇降口



上履きを下駄箱にしまい、靴を出す。



夏奈「((さっきのこと、やっぱり気になる・・・私とは話してくれるけど・・・あの子達の話からすると、月島くんは女の子と喋らないってウワサになってるっぽいし・・・))」



圭人「夏奈先輩、一緒に帰りませんか?」



夏奈を見つけた圭人が駆け寄りながら夏奈に声をかける。



夏奈「うん!帰ろー」



さっきの考えを振り払うように目を閉じた後、満面の笑みを浮かべて圭人に答える。



圭人「じゃ、行きましょうか」



そう言って手を繋ぐ圭人。



夏奈は何も言わずに受け入れ、歩き出す。



〇電車から降りて夏奈の家へ向かう最中



夏奈「((うーん・・・さっきのこと、気になるな・・・聞いてもいいかな?))ねぇ、月島くん。あのさ、聞きたいことがあったんだけど・・・聞いてもいい?」



圭人「?なんですか?」



夏奈の方を見つめながら、夏奈が話始めるのを待つ圭人。



夏奈「あのね、ウワサで月島くんは女の子と全然喋らないって聞いたんだけど、私とは普通に喋ってくれるじゃん?どーしてなのかなーって思ってさ」



圭人「・・・そーですね、バカな先輩には分からないでしょーね」



少しムスッとしながら夏奈から視線を外す圭人。



夏奈「なっ・・・!!またバカにして・・・!私はそんなにバカじゃありませーん」



圭人「バカですよ。というより、鈍感過ぎ。僕、結構アプローチしてたんですけど全然気付かないし」



夏奈「え?それってどういうこと・・・?」



いまだにハテナを浮かべる夏奈。



そんな夏奈に対して、ため息をつく。



圭人「ハァ〜・・・ここまで言ってまだ気付かない訳?本当、壊滅的にバカじゃん」



夏奈「だから、そんなこと──」



圭人「好きだからですよ、先輩のことが」



夏奈の言葉に被せるように夏奈の事を見つめながら告白をする圭人。



夏奈「・・・え?」



圭人「・・・これが理由です。理解しましたか?」



夏奈から目を逸らす圭人。



その頬は少し赤くなっている。



夏奈「いや・・・え?私、月島くんに好かれるようなことしてないと思うんだけど・・・」



圭人「先輩が忘れてるだけですよ」



夏奈「え?忘れてる・・・?((全然心当たりないんだけど・・・?))」



うーんと唸りながら考え込む夏奈。



だけど、心当たりは見つからない。



圭人「僕、名字変わってるんですよね」



夏奈「・・・え?」



そんなことをしているうちに、夏奈の家の前までたどり着く。



圭人「じゃ、そういうことなんで。また明日」



夏奈と別れ、帰っていく圭人。



夏奈「・・・えぇ〜・・・!?」