〇教室、1年4組



窓際の机に座り、頬杖をつきながら外を眺めている圭人。



圭人「はぁ〜・・・((夏奈先輩に会えたのは嬉しかったけど・・・まさか覚えてないとか。ありえないでしょ))」



落胆しながら考え事をし始める圭人。



そんな圭人に近寄ってくる女子2人。



女子1「ねぇ、月島くん・・・だよね。私、同じ中学だったんだけど・・・覚えてる?」



圭人「・・・・・・」



チラリと女の子を見るけどフイッと視線を逸らす圭人。



女子1「あ、あの・・・聞いてる?」



圭人「・・・・・・」



女の子の問いかけに無言を貫き通す圭人。



女子2「だから言ったじゃん、月島くんは女子と会話してるところ見たことないって・・・!!」



小声で話しかけた女の子に耳打ちをする。



何も答えない圭人に億して、退散していく女の子2人。



それを見て後ろにいた男子が身を乗り出して圭人に声をかけてくる。



男子「なぁ、月島。お前、さすがに一言ぐらい喋ってやれよ。可哀想だろ?」



圭人「・・・好きでも無いクラスメイトと会話とかめんどくさいだけだから嫌だ」



一瞬振り返るけど、前を向いて答える圭人。



男子「うっわ、冷めてんなぁ」



圭人「だって、仲良さそうに話したりなんかして好きな人に勘違いされたら嫌だろ」



男子「えっ、なになに、お前好きな子いんの!?」



圭人「・・・いたら悪い?」



後ろをふりかえって、椅子に腕を置きながら機嫌悪そうに呟く圭人。



男子「悪くない悪くない、んで、どんな子だよ」



前のめりになりながら圭人にグイグイ聞いてくる男子。



圭人「・・・びっくりするぐらいバカなチビ」



グイグイくる男子に少し顔をひきつらせながら観念したように告げる圭人。



男子「・・・お前、本当にその子のこと好きなわけ?」



圭人「好きだけど」



頬杖をつきながらだからなに?と言いたげな表情で言い切る圭人。



そして、前を向く。



圭人「((好きに決まってんじゃん。・・・あの時から、ずっと──))」