〇自宅、夏奈の部屋



夏奈「はぁ〜・・・」



夏休みに入り、自宅で勉強道具を広げながらため息をつく夏奈。



夏奈「((好きなことを自覚したのは良いけど・・・どうやって返事すればいいのか分からない・・・))」



〇回想



朝、電車内にて──



圭人「夏奈先輩、おはようございます」



夏奈「なっ!!!お、おはよっ!!!」



圭人「いつになくどもってますね、先輩」



ぎこちない動きをしながら返事をする夏奈。



昼、図書室で委員会の仕事中──



圭人「夏奈先輩、それ取ってもらえます?」



夏奈「し、しゃい!!」



圭人「・・・しゃい?」



帰り道にて──



圭人「夏奈先輩、どうしたんですか?なんか様子が・・・」



夏奈「そ、そんなことないでがんす!!」



圭人「・・・がんす?」



〇回想終了



夏奈「学校あるうちにと思って頑張ったけど、どう返事したらいいかって考えたら変な言葉口走っちゃった〜!!」



以前のことを思い出して顔を真っ赤にさせながら頭をかかえる夏奈。



夏奈「((さすがに告白されてから時間経ってるし、早く返事しなきゃとは思うけど・・・間が空いたせいでどう返せばいいかわかんないし・・・))うぅ〜・・・!」



顔を手で覆い、唸る夏奈。



そんな時、着信音が響き渡る。



スマホには月島圭人と名前が表示されている。



夏奈「!!つ、月島くん!?」



慌てながらスマホを手に取り通話ボタンを押す。



夏奈「も、もしもし?月島くん?」



耳にスマホを当て、緊張しながら電話に出る。



圭人『あっ、先輩?今時間大丈夫ですか?』



夏奈「うん、大丈夫だよ!」



圭人『明日の夏祭り、一緒に行きません?』



夏奈「夏祭りって、隣町でやるやつ?」



ハテナを浮かべながら圭人の言葉に耳を貸す夏奈。



圭人『はい。先輩と一緒に行きたくて。明日予定あります?』



夏奈「ううん、予定ないから行けるよ」



圭人『じゃ、一緒に行きましょ。詳しい時間とかはLINEで伝えますね』



嬉しそうな口調の圭人。




夏奈「わかった、また明日ね」




圭人『はい、また明日に』



その言葉を残し、通話が終了する。



夏奈「((明日・・・か。よし、明日に告白の返事をするぞ・・・!!絶対に!!))」



通話終了の画面を見つめながら固く決意する夏奈。