「でもカレン。これだけは忘れないで。カレンは魅力的だよ。たまたま今回は合ってなかっただけ。男と女はいいか悪いかじゃなくて、合うか合わないかだよ」

カレンはそれこそ連なる花が、ポットからこぼれ落ちるように笑う。
なんて綺麗に笑う女の子だろう、そう感じた。
すっかり上機嫌になったカレンは、テーブルを挟んで見ていてもはっきりわかるくらい、酔いがまわってきた。
職場では、絶対にこんな顔は見せない。

「あのね、セイジ、ラクリマクリスティっていうのはね」

ラクリマクリスティ? それはなんだっけ?

「神様が悪さばっかりする大天使サターンを、地上に落としたんだけどね?」
「は?」