「わたしもアルコールの中ではワインだけど、詳しくはないわよ」
「じゃあ、お店の人に決めてもらおうか。俺は甘くないのならなんでもいいから」
「うん」

それから店の人と、二人の好みや今日の料理との相性を相談し、ワインを決めた。
イタリアのワインだ。
ラクリマクリスティ コーダ・ディ・ヴォルペ。白。

美味いワインと、久しぶりのシンプルな焼き魚や酢の物が胃に沁みる。
ワインにも合うようにしているのかどうなのか、全くの日本料理とは微妙に違うようだけれど、それがまた異国情緒を誘う。
味も、文句のつけようがない。

詳しくないというわりにカレンはけっこう酒が好きらしく、俺が空になったのを見計らってつごうとしても、手酌状態で瓶を持ってすでに自分のグラスと、俺のグラスにも注いでいる。