「そんな両生類と一緒にするなよ。靴を持ってきたんだから王子様なんだろ?」


「そんなって! イクチオステガは偉大よ? 初めて陸にあがるってすごいことだと思わない? とにかく古い話なんだから」


「そう。でも今は俺はそれどころじゃないの。早くカレンの家に行きたい」


「わたし、会社に戻らなきゃ」


「直帰にしろよ」



寄り添って歩く海沿いの道は、どこまでもまっすぐの、あきれるほどあっけらかんとした一本道だった。