俺が二股なんかかけるわけがないだろう? 


初対面の頃からいい人いい人と連呼していた、俺にとっては不本意でしかない自分の直感を信じろよ。


君を見つめる俺の目を信じろよ。


辛いよカレン。


俺に二股をかけられているとバカな勘違いをしたまま君はニューヨークを一人去ったのかと思うと、もう身体が裂けそうなほど痛いよ。


イスタンブール。


カレンの憧れの街。


だけど近くには何千年もの間、紛争を繰り返すイスラエル地域があり、状勢はつねに不安定だ。




情勢がどの程度落ち着いたら、ソンの会社から事務所再開の社命がでて、ブルガリアからそこに移るのかはわからない。


でももう安全だと会社が判断したとしても、決して穏やかな地域とは言えない。


いくらカレンの憧れの街であったとしても、心配であることに違いはなく、もういっそずっとブルガリアにいてくれよ、とさえ思う。


いや、ヨーロッパだって絶対に安全というわけじゃない。


カレン。



カレンカレンカレン……。