その彼女が、実は平日俺のいない地元で、結婚前の火遊びだ、と称して浮気をしていたと知ったのは、俺が取り返しのつかない過ちをおかしてしまった後だった。


あろうことか、相手は中学三年で塾の教え子、しかもつき合っている女の子がいるという男子だった。

名前は悠馬という。


根が真面目で情に流されやすく、なにより若さからくる潔癖さが強い男子だった。


それを俺の彼女だった女は、遅れていた塾のプリント提出で自宅に呼びつけ、重い家具の移動を手伝ってくれ、と一人暮らしの自分の部屋にあげた。

そして騙して関係を迫った。


君が好き、自分は不治の病だから近くにいてほしい、抱いていてくれるだけで心安らぐ、と泣いたそうだ。


目の前には自分を思う不治の病を負った裸の女。


なんの経験もないけれど、身体は素直に反応してしまうという厄介な年齢の中学三年生はそうして女の毒牙に落ちた。


それ以来、彼女は事あるごとに悠馬を呼び出して関係を持った。


結婚するまでの程のいいおもちゃくらいにしか考えていなかったんだろう。