「そんなはずないよ。セイジがカレンを強く思ってるのは昨日の慌てようでもう……。そんな二十五にもなろうって女と一日連絡が取れないくらいで血相変えて、なんかあったかも、って」


「優しいのよ、あの人は。よくも悪くも誰にでも」


「カレン……」


「日付を見てよ。あの人がニューヨークに来る直前なのよ?」


「確かめたの? 確かめもしないで」


「確かめるもなにもその申込書、そのままでしょ。偶然なんだけど、そこに書いてあるその名前の子から、セイジのところに来たエアメール、わたし、見ちゃったんだ。この休日にポストからセイジが出してきた紙束にまぎれて落ちたのをわたしが拾った。その時はまだ何も知らなかったから疑いもしなかったけど」