昼過ぎにどうにか会社に着くと、セイジのデスクが空だった。


モトムラから取った$10000000契約の説明のため、主だった国の海外事業部の部長会議に、召集されているとのことだった。


わたしが、あの契約を取ったのはセイジだと、ボスに報告したからだ。


顔を合わせずにすんだことが、すごくありがたかった。


目の前で彼の顔を見て冷静でいられるほど、わたしは大人じゃない。


恋は二十五の大人を、簡単に十五の少女にひきもどす。





夕方、所用で外に出ていたわたしはアメリカ人部長に囲まれながら、うちの会社の大理石のエントランスフロアで、ゲートに向かうセイジにでくわした。