「リラ! パパがどうしたのっ?」


「いきなり倒れて……。こここ、呼吸がっ。苦しいのかな。それに熱が急に上がったの」


パパはヒィヒィ、ゼィゼィという細かい呼吸を繰り返していた。


「わ、わたしがいない間、パパ、普通だったの?」


「風邪はひいてたわ。でもこんな呼吸が苦しくなるなんて。こんな呼吸になって倒れるなんて思ってもいなくてっ」


わたしは力をいれて、かすかにパパを抱き起こしかけ、ふとその手を止めた。

そっと床に横たえる。


また脳梗塞だったら動かさないほうがいいのかもしれない。

ママは床にへたり込み、怖がっていてパパに近づくこともできない。


ママは、パパの今度の脳梗塞で怯え切ってしまっている。


パパの死が怖すぎるのだ。

「大丈夫よ。リラ。ホームドクターに電話……」


わたしは言いかけてパパの真っ青な顔色を見据えた。


「救急車を呼んでリラ」