これ……。


嘘……嘘よね? 


でもこの日付……。


この名――は……。



「カレンパパがっ!!」



どういうこと? 


どういうこと? 


どういうこと?



混乱しきったわたしの思考を、つんざくようなリラの悲鳴が寸断した。



わたしは本をサイドテーブルに置いた。


下からリラが狂ったように、わたしの名前とパパという単語を交互に叫んでいる。


頭の隅に無理やり、今目にしたものを押しやる。


押しやっても押しやりきれず、混乱が混乱を呼んでめまいを起こしそうだ。


立て続けに響く、あたりを切り裂くようなリラの悲鳴。

パパに何かがあったんだ……行かなきゃ。

わたしはふらつく身体のまま、どうにか両手で部屋のドアに取りつき、廊下に出て、あとは、階段を転げ落ちるような勢いで下って行った、のだと思う。