ベッドの上で俺のTシャツを着て、枕にうつぶせで両腕を乗せているカレンは、ベッドに座っている俺を興味深そうに眺めている。

俺が煙草を吸っている姿が珍しいのかもしれない。


「煙草、オフィスでも外でも吸わないのに」


「ニューヨークだからね。日本にいる頃より格段に量が減ったよ」


そこでカレンは手を伸ばし、ベッドサイドのテーブルに置いてある英語の文庫を取り上げ、題名を読み上げた。


「The Shawshank Redempton Stephenking」


「そう。日本語訳だと『ショーシャンクの空に』」


「スティーブンキングが好き?」


「全部じゃないけど好きだよ。原書で読むのはこういうエンタメ系の話じゃないと、英語の壁を乗り越えてまで先が読みたいって思わないだろ? 俺、読むのはそんなにすらすらじゃないんだ」