「ニューヨークには数え切れないほどの人種がいるでしょ? でもやっぱり同じ人種同士仲良くなることが多いわ。日本人のおじさんがセイジを見ると安心するみたいにね」


「じゃあ、カレンは? 日本人なのに小さい頃からアメリカ人に混じって苦労したことないって言ってたじゃない」


「そうね。さしてね。でもごくたまに嫌な思いもしたかな。わたしは完全にアメリカナイズされた、でも日本人っていう中途半端な位置にいるのよ。だからアメリカ人ともどこの人種の人とも仲良くなれるの」


「ふうん。そういうもんなんだ」


「でも、そうじゃない人もたくさん見てきたの。だからイスタンブールが憧れなのかもしれないわ」