料理にまだ不慣れなカレンと俺は、今日は外食をすることにした。

マンハッタンはなんだかんだですごく歩く街で、今日は二人ともそれなりの運動量だったから家で作るのが面倒だった。

俺もカレンも魚介が好きだから、今日は彼女のおすすめの寿司バーにした。


正統派の日本料理とは違う店。


本格的な握りもあるけど、アメリカ流のロール寿司が洒落た皿で出てくる洗練されたいかにもマンハッタン、という店だ。


「セイジはさ、どうしてニューヨークに来たの? どうして外資系を選んだの? 来たかった? アメリカ本社」


食事がひと段落して、カレンはまた俺のグラスに酒を注ぎながら尋ねた。


だいぶ俺もワインに馴れてきたよ。


「そうだな。学生の頃から外国には行きたかったな。ニューヨークじゃなくてもよかったけど、海外勤務希望の申請はずっと出してたよ」