「あの日、わたしはちゃんと自由の女神に行くつもりだったのよ? セイジがオイスターバーに連れてったんでしょ」
「だって微妙な相手じゃ、自由の女神ってカレンがつまらないと思ってさ。ただの散歩でも楽しいと思ってくれる相手になったら自由の女神につき合ってもらえばいいかなって」
「なるほどね」
「なった? 微妙じゃない相手」
「それはセイジが一番知ってると思うけど?」
上司じゃないカレン。
今は上司じゃないのに無理無理に最低限の威厳は保とうとして失敗し、下を向いて頬を染めているカレン。
俺のトレーナーを着ているカレン。
俺に料理を作るカレン。
……誰も知らない俺だけのカレン。