奴らにけっこうガツンとキツい思いをさせられて日本を出たわけだけど、それがここに繋げてくれたのかなと、今は感謝さえしているよ。


そっと歩いていって、カレンを俺の腕に収める。


あの時、俺がドルトンホテルに行くのがもうちょっと遅かったら、と考えると、いまでも足元から恐怖が這い登ってくるようだ。


「カレンおはよう」

「うん。おはよう」



昨日、片付けをしている途中でもうお互いにそれどころじゃなくなり、抱き合って、もつれこむようにバスに向かった。


当然一緒に入る気でいたのに、それは欲望より羞恥心の(まさ)っていたカレンに押し留められることになった。





「ごめんな。ここ、一人で片付けるの大変だったろ?」


「そう! 昨日セイジが片付けさせてくれないから!」