「そうか」
「アメリカはやっぱりオーブン料理が多いんだ?」
「そうね。お友達の家に招かれるとキャセロールが多い。うちは日本食が多いから、たぶんわたしは一般的な日本の家庭料理はだいたいわかる……のかなぁ。作れないけど」
「作れないの?」
軽く、おどけて睨むように見つめられる。
どきん、と心臓が跳ねる。
「うん。ダメ?」
「ダメじゃないよ。でもカレンと一緒に家でも美味いもん食べたいから二人で上達しようよ」
「うん。そうね」
セイジは、本当に魚だけは見とれるほど手際よくさばくことができた。
でも野菜を切ったり調理器具を扱ったりするのは、まだわたしのほうがマシというレベルだった。