「もういいですよ。カレンさん。さっきのジョージくんといい……、なにやら事情を知っているんじゃないかと邪推してしまう。信用できませんね」

モトムラは、さも不愉快だと言わんばかりに椅子の背もたれに片腕を預け、わざとらしく深いため息をついた。
完全に開き直ってしまったようだった。

「残念ですが信用できないのはあなたのほうですよ。元村専務」

「セイジ……?」

さっきの柔らかい口調とは打って変わった声音に彼のほうをを向くと、凍りつくほど憤怒のこぼれる表情をしたセイジがいた。

「うちの大事なチーム長に、どうしてそんな非道な要求ができるんですか? モラルを知って下さい」

そう言ってセイジはテーブルの上に小さな器械を置いた。
これ、は、なんだろう?