―――……。

結婚、という言葉でとっさに頭に浮かんだ人の面影を、とっさに目を固く閉じて封鎖する。

今はとにかく契約よ。
お金よ!! 札束よ!!


でも……こいつはいつもわたしをあんまり無遠慮にじろじろ見てくるから、一人でいる今日は胸元のボタンは一番上の一つしか開けていない。
わたしの愛用のシャツはボタンの間隔が狭いから、ふだんは三つ開けたりできるんだけどね。
今日は、一人だから……。


何を弱気なことを考えているの、カレン。
こいつがただで契約してくれるわけはないのだから、今さらボタンを留めたって無駄というものだ。
もう決めたことだ。
震えるなカレン。