電話をしながら地下鉄の駅に走る。
どこか電気屋があったかな。
ジョージが行ってくれればひとまずは大丈夫だろう。

大丈夫……だよな。
この間、廊下で見た光景がフラッシュバックする。
ジョージがカレンを呼び止めていた。

ちらりと聞こえた会話では、婚姻届を出していないとか、そんなことをカレンに言っていた。
どういう事情があるのかわからないけど、ジョージがカレンに未練があるのは傍から見ていてもはっきりとわかる。

少なくともジョージにとってカレンは、一度は結婚寸前までいった女性だ。
俺が駆けつけるまで、ちゃんと守っていてくれるよな。
地下に降りる前、ジョージが今日、行くはずだった会社にキャンセルの謝りの電話をいれる。