「な、なんか誤解を招くような言い方だわよ? 今の」

わざといやらしい言葉を使って俺のことを少しは男だって、意識するように仕向けているんだよ。

「どういう意味で?」
「どういう、って……そんなの……」

みるみる真っ赤になって今の失言を、どうにか取り繕う言葉を捜すカレン。
見たことがないほど可愛い。
こういう彼女の表情は、俺にはいろいろな意味で耐え難いくらい痛い。

俺こそ、どういう顔をしていいのかわからず、下を向いて作業の続きをするしかなかった。
計算しているはずなのに、情けないことに自分が思うよりも余裕がないらしく、動揺から手つきが乱暴になってしまう。

靴を両方とも脱がせると、ヒール部分を交互に組み合わせて紙袋にしまった。