「意地悪……」
ハンカチを長細く開き、両目をそこに両手で押し当てているカレン。
「こっちに来るんだ」
その状態のカレンの細い手首をひいて、整然と並ぶ受付前の椅子の場所までゆっくり連れて行く。
受付前の椅子に座らせる。
「セイジ?」
俺は会社を抜けて買ってきたスニーカーを紙袋から取り出した。
「今日だけはこれ履いて帰ってくれ。な?」
「え」
戸惑っているカレンの前に片膝をついて、片手で足首を握り、反対の手で、その足から高いヒールの靴を抜き取る。
「ちょ、やめてよ! 何をしてるの?」
「脱がしてんの」