耳もとで聞く声は、いつもよりずっと甘く切なく鼓膜を揺らす。 「カレン。泣きたい時はちゃんと泣くことも人間必要なんだよ。このままだと本当に君はいつかつぶれてしまうよ」 「離してよ」 「嫌だって言ったろ」 「今だけは優しく、し……ないでよ」 「嫌だ」 「どうしたら離してくれるのよ……」 「ちゃんと泣くまで離さない」