「セイジ……どうして……」
「ニックからだいたいのこと聞いたんだ。お父さん、大丈夫だったみたいだね」
「どうして、それ、を?」
「脳外科の病棟で」

セイジがわたしの正面で足を止め、わたし達は向かい合わせの体勢になる。

今、何時なんだろう? 
明日だって仕事があるのに、わたしを心配してきてくれたの? 
いままで待っていてくれたの? 
いったいここで一人で何時間待っていたの?

「セイジ……」

セイジがわたしの両肩に手を置き、ゆっくりと自分のほうにひきよせた。

「不器用だな、泣きもしないで。上手く泣けないみたいだから、泣く手伝いしてやる」