そうよね。
脳梗塞を起こしたパイロットなんて、会社が飛行機をまかせるはずがない。
パパが働けなくなった。


リラはニューヨーク大学の二年生で、まだまだお金がかかる。
うちは、大丈夫なんだろうか。
わかっているのは、今現在、真崎家にはわたししか稼ぎ手がいない、ということだ。

明日から金銭的に困るということはないにしろ、この先のことを真剣に考えなければならないことは確実だ。
情けないことに、わたしには、真崎の家の家計がどうなっているのかまるでわからない。

ただ、まさかこんなことになるとは思わなかったから、一等地に買った家のローンはかなり残っているはずだ。

「カレン、どうしよう」

リラがわたしの腕に掴まってきた。