「父が倒れたの。ここで電話してもいいかしら?」

運転手さんに断ってから電話をする。わたし、けっこう冷静でいられている。

「ママ? わたしよ。カレン、どうしたの? パパ、大丈夫よね? え? え? わからないわ。 泣いてちゃわからないわよ。いいいいい、生きてるのよね? そうよね? ―――そう……。今、そっちに向かってるから」

パパは、ちゃんと生きている。
わかるのはそれだけで、泣きじゃくって冷静さを欠いているママからはパパがどんな具合なのか全くわからない。

リラ。
リラならわかるかしら?
わたしは妹のリラに電話をかけた。

でもリラもわたしと同じように今連絡を受けて病院に向かっているところで、詳しい状況はわからなかった。