わたしがこの会話をすぐに切って捨てなかったからいけないのか、ジョージは何を勘違いしているのやら、わたしの両肩に手をかけた。
怒りが心頭して、今ならハラワタの上で目玉焼きができそうよ、ジョージ。

残る理性を総動員して、柔らかくジョージの手を肩からどけた。
社内のわたしはあくまでも上司だ。

「放してジョージ。あなたは好きだからケイトが妊娠するような行為に及んだんでしょ? 一度は結婚まで考えた男が、好きでもない女性と軽はずみにそういうことをする人間だとは思いたくないの」

今度こそ、わたしは自分の部署に向かって歩き始めた。