「全く。日本の女ってもっとこう潤いがあるもんじゃないのかしら? そんなんじゃ、潤いのある女に馴れてるセイジは幻滅しちゃうわよ」
「幻滅するほど好かれてもいないわよ」

突き放すように言ったつもりなのに、なぜか突き放されたような気持ちになった。
毅然として聞こえるはずのそのセリフは、立ち登ってはいつの間にか消える煙のように、頼りなく響いた。

その声音に、自分に裏切られたようないたたまれない気持ちになり、わたしは席を立った。
まだランチタイムには間があって、コーヒーの一杯も飲めそうだったけど。

「片付ける仕事があるの。お先に。ジェシー」

ジェシーは座ったまま、手をひらひらと振った。