オープン間もない穴場で、まだそれほど知られてはいないけれど、老舗のオイスターバーに味も値段も劣らないよ、と告げられていた。
カレンはこの店を知っているかな。
ここにもジョージと来たことがあるのかな。

「すごく素敵なお店ね。マンハッタンに来てまだそんなにたってないのに、よくこんなお店、知ってたわね」
「隣の部署のスティーブンに教えてもらったんだ。カレン、来たことある?」

新しいぶん、老舗のほう、もうハーレムの名物的な店になっているオイスターバーよりも小綺麗だった。

「ないわ」

その言葉に安堵する自分がおかしい。
カレンが、他の男を思い出す場所に来たくはない。