観光案内でもないんだから、これは一般的なデート、という括りでいいんだよな。

カレンの格好を見て、可愛いな、新鮮だな、と嬉しくなる。
ざっくりした麻の、質のよさそうなVネックセーターにミニスカート、十センチ以上はありそうなハイヒール。
でも高いヒールは細くなく、前の部分からかかとまで全部くっついている藁みたいな素材でできたタイプで、少しは安定感がありそうだ。

スーツじゃないだけで、あとは会社とたいして変わらない組合せだ、と言ってしまえばそこまでだけど、デザインにも色にも休日仕様の華がある。
たわいない会話が、俺には楽しくてたまらないよカレン。
ただ笑っていてほしいと思う。

君も俺と同じ気持ちでいるんだと思いたいから、少しでも楽しんでほしいと願うから、笑って欲しいんだろうな、きっとさ。

「動物園に行こう」

カレンは自分の家で飼っている犬をすごく可愛がっている。
動物だって好きなはずだ。
俺とカレンはセントラルパーク内の動物園に向かうことにした。

「うん。ペンギンに赤ちゃんが生まれたんだって!」