「よく知ってるわね。わたしがシーフード好きなの」
見てるからね。
会社じゃ俺の視線になんか、まるで気づかず仕事をしているもんな、と心の中で毒づいて、でもカレンにはかすかに笑みを見せただけで、セントラルパークに二人で入る。
まだどこか腑に落ちない顔をしているカレンは、それでも俺に上司らしい質問をした。
「どうセイジ。もうマンハッタンに慣れた?」
「慣れたような。慣れないような。楽なような。楽じゃないような」
くすりと笑うカレン。
「どういう意味?」
「ここまで人種の坩堝だとは思わなかったから。日本人であることも会社で業績を残せば問題ないんだな」
「そうね。会社ではね。でも一部はまだ難しいのかな」