わたしはポジションを決めるといきなり跳躍した。
あの頃、一番高く跳べるのはわたしだった。

ピケターンから跳躍、また跳躍。
そして得意のフェッテ。

腕を脚を振り上げ振り下ろし、ひらひらと夢中でまわるフェッテに、不思議なほど身体がついていける。
なんだ、わたしはまだ踊れるじゃない。

諦めることはなかったのかもしれない。
そこから渾身の三十二回ピルエット。

今のわたしにどこまでまわれるだろう。
まわる。

片足だけで身体を支えしっかりと軸をつくり、まわるまわるまわるまわる……。
汗が飛び散り街灯の明かりに煌く。

気持ちがいい。
無心になれる。