シロツメグサの花で作った花かんむりを、妖精たちが運んできた。ポケットからプイプイが出てきて、輪に入って夜宮先輩の手の中へぽとんと落とす。

「クレハ様は、悪魔界の王子なのです。ゆえに、時期に国王になられる方でございます。ご結婚されたあかつきには、リリア様は姫君となります」

 花に水やりをしていたチグサさんが、手を止めてこちらを向いた。

 夜宮先輩が……王子さまで、国王になる?
 わたしが、姫君?

 少しずつ首がかたむいていくのを見て、先輩がクスクスと笑う。

「チグサ、説明がとうとつすぎるよ。そうしたいけど、最後に決めるのはリリアだからね」

 妖精たちが、わたしの長い髪をむすんでいく。可愛らしく整えられて、プイプイがちょこんと肩に乗った。

「まだ力不足だけど、ちゃんとリリアを守れるようになるから。僕の花嫁になってください」

 まっすぐ見つめられて、胸の音が大きくなっていく。

 わたしと先輩は、天使と悪魔。本来なら、対立する敵同士。

 でも、わたしは夜宮先輩に恋をしている。それは、まぎれもない事実なのだけど……。