ドラマみたいだねと言ってくれたのは、最初のうちだけ。今となっては、早く現実に目を向けた方がいいよってお母さんみたいに忠告されている。

 レオに関しては、初めからバカにしてからかって来たっけ。思い出しただけで腹が立つー!

 一人で百面相をしていると、ふわっとした茶色の髪が視界に入った。

「よっ」

 クリクリした目の可愛らしい顔が飛び込んで来る。
 体操着姿のレオが机に手をついて、わたしの頭をポンと押す。
 口を開いたときには、トーコちゃんがわたしたちの間に割り込んでいて、じろりと強い視線を送っていた。

「どうして唯野(ゆいの)くんがB組にいるの?」
「いちゃいけねーのか。佐原(さはら)に用があったんだよ」

 佐原くんって、レオと同じバスケ部の子だよね。昨日から休んでいて、誰かプリントを届けてほしいと、さっきショートホームルームで先生が話していた。

 くしゃっとなった髪を整えながら、交互に二人を見上げる。

「そんなこと言って、ほんとはリリちゃんの様子を見に来ただけでしょ?」
「うっせ! リリアはついでだ!」
「もう、また喧嘩して。そんなのどっちでもいいから、やめてよ〜」

 顔を合わせれば、二人はいつも言い合ってばかり。止めに入るのが大変なんだから。

 教室を出てからも、電流が走るようなビリビリした空気は続いたまま。

「そういえば、バスケ部へ入ったと聞きました。転校生の夜宮先輩」

 トーコちゃんの言葉に、レオがぴくりと反応する。