「リリアー! おめでとう。すごいわよ、よく一人でできたわね!」

 学校の先生に悪魔がいたことを伝え、封印したことを話すと、お父さんとお母さんは飛び跳ねて喜んでくれた。
 ケーキやちらし寿司なんかを用意して、まるでお祭り騒ぎ。わたしの誕生日のときは、天使と悪魔の話で終わっちゃったというのに。

「さすが、俺に似てハンターセンスがあるな」
「あらいやだ、私に似たのよ。お母さんに似て美人だって、よく言われるのよ。ねえ、リリア」
「わかったから、早く食べようよ。冷めちゃうよ」

 チキンを食べながら、封印したときのことを思い出す。

 あのとき、突然声が聞こえた。あの呪文を教えてくれたのは、わたしの初恋の人──夜宮先輩のお兄さんだ。

 ペンダントと引きかえに、このネックレスをくれたのはどうしてだろう。
 守ってもらえたから、結果的にはよかったのだけど。

「あら、リリア。【天使の()】は? ちゃんと肌身(はだみ)離さずつけていなさい」
「なにそれ?」
「指輪のことだよ。ほら、悪魔退治するときに使っただろ」

 首をかしげながら、ポンとひらめく。
 お父さんが、駄菓子屋のおばあさんに使っていたリングのことかな。

 でも、そんなものは持っていない。お父さんたちのような、デビルハンターだけが使うものだと思っていた。

 二人は黙って、わたしの顔と指を交互に見る。

「まさか、持ってないの?」
「君が渡したんじゃないのか?」
「いやだ、私はてっきりあなたが渡してるものだと」

 言い合いながら、いっせいにこっちを向いて。

「……じゃあ、どうやって封印したのよ⁉︎」
「……じゃあ、どうやって封印したんだ⁉︎」

 いきおいよく、声を合わせて聞いて来た。
 どうやら、わたしはとんだミスをしてしまったみたい。